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事業運営に知っておきたい労働保険・社会保険の知識Q 全ての従業員が加入するの?(雇用保険)雇用保険は雇用保険法第6条による、1週間の所定労働時間が20時間未満あるいは継続して31日以上雇用されることが見込まれない、などの適用除外に該当しなければ加入しなければなりません。 Q 全ての従業員が加入するの?(社会保険)健康保険は適用事業所に使用されるもの、厚生年金は70歳未満で適用事業所に使用されるもので、健康保険法第3条あるいは厚生年金保険法12条による、2ヶ月以内の期間を定めて使用される者あるいは日々雇い入れられる者、などの適用除外に該当 しなければ適用されます。 「短時間労働者」(パートタイム・アルバイト)については通常の就労者の所定労働時間、所定労働日数の概ね4分の3以上で 適用とされていますが、それ以下でも適用はできます。(昭和55年6月6日 各都道府県保険課(部)長あて内かん) Q 従業員に変更があった(雇用保険)・ 氏名の変更(雇用保険法施行規則第14条)雇用被保険者氏名変更届を所轄公共職業安定所長に速やか(できるだけ早く)に提出 ・ 転勤した 雇用保険被保険者転勤届を転勤後の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に10日以内に提出 ・ 育児、介護休業を取得した 雇用保険被保険者休業開始時賃金証明書を所轄公共職業安定所長に10日以内に提出 します。 Q 従業員又はその家族構成に変更があった(社会保険)(日本年金機構参照)氏名・住所の変更・ 健康保険、厚生年金被保険者氏名変更届、住所変更届を速やかに年金事務所又は健康保険組合に提出 (氏名変更には保険証も必要です) 毎月の固定給が変更になった ・ 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬月額変更届を速やかに 育児休業を取得した ・ 健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書を休業開始時に 育児休業を終えた従業員の報酬が休業前と比較して変動した ・ 健康保険・厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届を被保険者が事業主経由で 年金事務所又は健康保険組合に提出します。 従業員が70歳になった ・ 厚生年金保険70歳以上被用者該当・不該当届を5日以内に年金事務所へ提出します。 Q従業員の給料が変動した場合の保険料は?(労働保険)雇用保険・労災保険の保険料は1保険年度に支払った賃金の総額に保険料率を乗じて算出します。保険料率が同じの場合、賃金総額の変動があれば、保険料も変動することになります。 例えば、残業手当の増加によって、賃金総額が増加した場合、保険料も増加することになります。 従業員の給料の変動の他、採用拡大等により既に納付した概算保険料と比較して2倍を超え、かつ、金額が13万円以上の場合は、増加が見込まれた日の翌日から起算して30日以内に納付する必要があります。 Q従業員を給料が変動した場合の保険料は?(社会保険)健康保険・厚生年金は月ごとに保険料を納めます。それぞれ健康保険の保険料は毎月末日までに(健康保険法第164条) 厚生年金の保険料は毎月の翌月末日までに(厚生年金保険法第83条) 納付します。 保険料の算定の基礎となる標準報酬月額は毎年、定時決定という形で決定しますが、給与の変動のうち、 一定の要件で随時改定が行われ、標準報酬月額が改定されます。 Q標準報酬月額の算定方法は?健康保険・厚生年金とも共通で、資格取得時決定(資格取得した際の標準報酬月額の算定) 1 月、週その他一定期間によつて報酬が定められる場合、 被保険者の資格取得時の報酬の額を月又は週の総日数で除して得た額の30倍に相当する額 ただし、月給の場合は月給をそのまま適用します。 2 日、時間、出来高又は請負によつて報酬が定められる場合、 被保険者の資格を取得した月前1ヶ月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、 かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額 3 1・2によつて算定することが困難であるものについては、被保険者の資格を取得した月前1ヶ月間に、 その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額 4 上記の算定方法のうち2以上に該当する報酬を受ける場合には、それぞれについて、上記算出よって算定した額の合算額を 被保険者の資格を取得した月からその年の8月(6月1日から12月31日までの間に被保険者の資格を取得した者については、 翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とします。 定時決定毎年7月1日において4・5・6月支払われた報酬(報酬の支払いの基礎となった日が17日未満の月を除きます)の平均額をその年の9月から翌年8月の標準報酬月額とします。 6月1日から7月1までに被保険者資格を取得した人 7月から9月までの間に随時改定又は育児休業等を終了した際の改定が行われる人 (随時改定、育児休業等の終了時改定を参照してください) は定時決定の算定対象とはしません。 定時決定の算定届(報酬月額算定届)は7月10日までにしてください。 随時改定支払の基礎となった日数が17日以上の月が継続して3ヶ月あり、その3ヶ月の報酬の平均額が固定賃金の変動によって、これまでの報酬月額と比較して2等級以上変動した場合に行われます。 翌月から改定の標準報酬月額となります。 1月から6月までの間に改定された場合はその年の8月まで(9月からは定時決定により決定するため) 7月から12月までの間に改定された場合は翌年の8月まで適用されます。 育児休業等の終了時改定育児休業を終了した被保険者が終了日以降も3歳に満たない子供を養育する場合、事業主を経由して申し出ます。終了日の翌日が属する月以後3ヶ月間に支払われた報酬(報酬の支払いの基礎となった日が17日未満の月を除きます)の 平均額を報酬月額とし、標準報酬月額を改定します。 改訂された標準報酬月額は終了日の翌日から起算して、2月を経過した日の属する月の翌月が 1月から6月までの間に改定された場合はその年の8月まで(9月からは定時決定により決定するため) 7月から12月までの間に改定された場合は翌年の8月まで適用されます。 この辺は随時改定と同じです。 上記の方法では算定が困難な場合等は、保険者が裁定をします。 Q確定保険料の申告、納付はどうするの?保険年度の確定保険料は、次の保険年度の6月1日から40日以内に申告、納付します。概算保険料の申告・納付も同じ時期に行いますので、前年の確定保険料と、本年の概算保険料を同時に行うことになります。 有期事業(事業が一定期間で終了する事業)は終了した日から50日以内です。 申告・納付は概算保険料との比較で2つに分かれます。 1 概算保険料<確定保険料のとき概算保険料の申告・納付先と同じ場所に、差額分を確定保険料申告書に添えて納付します。2 概算保険料≧確定保険料のとき概算保険料の納付先と同じですが、日本銀行と年金事務所は経由せず行います。差額分は、次の保険年度の概算保険料(確定保険料と同時期に行う概算保険料のこと)に充当するか、 労働保険料還付請求書を提出し、還付を受けます。 Q 従業員が退職した時の手続きは?(雇用保険)雇用保険被保険者資格喪失届を10日以内に労働者名簿や賃金台帳等資格を喪失した事実とその年月日を証明できる書類および、離職証明書、賃金台帳等 賃金の額を証明できるものを添えて 所轄公共職業安定所長に提出します。 退職や契約期間の満了等の、被保険者でなくなった理由が離職のときは、原則離職証明書の交付が必要になります。 離職以外の理由、又は59歳未満で離職証明書の交付を希望しない場合は交付しないことができます。 離職以外の理由とは「雇用保険被保険者資格喪失届」の裏面にある 死亡、在籍出向、出向元への復帰、取締役への就任、週所定労働時間が20時間未満となった場合、その他 のことをいいます。 また離職した人が雇用保険法施行規則第34~36条に規定する「特定受給資格者に該当する場合には さらにそれを証明する書類が必要になります。 Q 従業員が退職した時の手続きは?(社会保険)5日以内に健康保険は 健康保険被保険者資格喪失届を 日本年金機構(年金事務所)または健康保険組合に 厚生年金は 厚生年金保険被保険者資格喪失届を 日本年金機構に 提出します。 (健康保険法施行規則第29条第1項・厚生年金保険法施行規則第22条第1項) *船員・船舶の事業に関する届出は10日になります。 Q 障害者雇用率って何?事業主に対して障害者の雇用割合(法定雇用率)が設けられています。(障害者雇用の促進に関する法律第43条1項、同施行令9条)法定雇用率を満たしていない事業主に徴収金を徴収する、 障害者雇用納付金制度があり、不足している障害者の人数×5万円が徴収されます。 超過すると超過人数×2万7千円が支給されます。 そして 平成22年7月から201人以上の事業主が 平成27年4月から101人以上の事業主が 障害者納付金制度の対象になります。 Q 障害者雇用率の計算はどうするの?障害者雇用率とは雇入れた障がい者の数(労働時間週20時間以上)が従業員に占める割合で 以下の場合は雇用者数のカウントに特例があります。 重度身体障害者・重度知的障害者は1人当たり2人としてカウント 重度身体障害者・重度知的障害者の短時間労働者(週20時間以上30時間未満)1人当たり1人としてカウント 身体障害者・知的障害者・精神障害者の短時間労働者:1人当たり、0.5人としてカウント します。 短時間労働者:1人当たり、0.5人としてカウント 計算式は以下のようになります。 {障がい者である労働者の数(短時間労働者を除く)+障がい者である短時間労働者} ÷{労働者の数(短時間労働者を除く)+短時間労者の数}=実雇用率 法定雇用率は {労働者の数(短時間労働者を除く)+短時間労者の数}×1.8%(=0.018) となります。 Q 従業員が業務中にけがをした!労働者が労働災害等で死亡又は休業したときは、私傷病報告書により労働基準監督署に報告しなければなりません。休業日数が4日以上の場合は遅滞なく行い、3日以下の場合は4半期ごとに区分された期間のうち、 死亡又は休業した日の属する期間の最後の月の翌月末日(1,4,7,10月の末日)までに提出します。 また、労働者が受ける労災保険の療養・休業・障害等の(補償)給付の請求書に対し証明をします。 Q 労災保険の「業務上」と労働基準法の「労働時間」って違うの?業務上=働いているとき=労働時間というわけではありません。労働基準法の「労働時間」は、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより 客観的に定まるもの(最高裁第1小 平成12・3・9 三菱重工業長崎造船所事件)です。例えば仮眠室での警報や電話応対が義務付けられている場合、仮眠時間も含めて労働時間となります。(最高裁第一小 平成14.2.28 大星ビル管理事件) 応対が義務ではなく、完全に解放されている場合は労働時間にはなりません。 一方労災保険の「業務上」とは、まず業務遂行性があって、その上で業務起因性が必要とされています。 業務遂行性とは労働契約に基づいて使用者の支配下に置かれている状態で「労働時間」と同じと考えてもよいでしょう。 業務起因性とは負傷の原因が業務に関係することと考えてください。 しかし、法律に明文の規定がないため、多少あいまいなところもあり、休憩時間中では業務遂行性が無いので 「業務上」とは判断されませんが、事業施設の欠陥によって負傷した場合は、「業務上」災害として、労災が認められます。 (財団法人労災保険 情報センターより) このように、似たような言葉ですが、その判断基準はそれぞれ全く異なるものです。 Q 通勤災害の「通勤」ってどんなとき?以下の移動が通勤とされます。(労働者災害補償保険法第7条第2項)1 住居と就業の場所との間の往復 一般的な通勤です。 2 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動 労災保険が適用されている事業所(労働者災害保険法施行規則第6条第1項)から別の就業場所への移動の間をいいます。 3 第一号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(労働者災害保険法施行規則第7条に該当するものに限る。) 単身赴任で別居している場合や、住居が異なる親や子の介護のため等に勤務前、勤務後に立ち寄ることです。 Q 従業員の訓練をしたい雇用している従業員でも雇用保険法の規定により訓練費用を一部補助されます。具体的には、 雇用保険の被保険者期間が3年以上ある「一般被保険者」(日雇や高年齢でなければ概ね該当するものです)が 厚生労働大臣が指定する職業訓練(ハローワークで「厚生労働大臣指定教育訓練講座一覧」を閲覧するか、厚生労働省「厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」で検索できます)を修了し、 訓練を修了した日の翌日から1ヶ月以内に 教育訓練給付金支給申請書を管轄公共職業安定所長(受講者の住所又は居所を管轄する職業安定所)に 提出します。 Q 就業規則を変更したい手順としては、作成の手続き同様、完成した就業規則は労働者の過半数が加入している労働組合(過半数組合が無ければ過半数代表)の意見を聴き、その意見書を添付して、所轄労働基準監督署に届出ます。 就業規則に規定する労働条件に対して、従来より低く設定する場合は、 労働者が被る不利益の程度、不利益に対する代償措置として他の労働条件の改善状況もふまえた変更後の就業規則の内容自体の 相当性、労働者との交渉の経緯等を考慮して、就業規則の変更が合理的なものであれば、労働者が変更に反対しても適用できます。(最高裁大 昭和43・12・25 秋北バス事件 最高裁第2小 平成9・2・28 第四銀行事件) Q 妊娠中の女性の労働について注意すべきことは?業務に就かせてはならないもの、請求により適用されないもの等があります。業務の禁止 坑内労働、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務 (労働基準法第64条の2・第64条の3)およびの人力・機械により行われる掘削等(女性労働基準規則第1条)には 業務につかせてはなりません。 *第64条の3についての詳細は女性労働基準規則第2条を参照してください。 出産後6週間を経過しない女性については業務につかせてはなりません。ただし、6週間経過後8週間を経過するまでは、 女性が希望し、医師が支障が無いと認めた業務については就業させることができます。(労働基準法第65条第2項) 請求によるもの(請求は必ず認めてください) 6週間以内に出産する予定の女性が休業(労働基準法第65条第1項) 既存の他の軽易な業務へ変更しなければならない。(労働基準法第65条第3項) フレックスタイム制以外の変形労働時間制の適用除外および、災害時等時間外労働、休日労働、深夜業の禁止 (労働基準法第66条) Q健康診断は受けさせるべき?常時使用する労働者を対象として1年以内ごとに1回定期に医師による健康診断を行わなければなりません。(労働安全衛生法第66条第1項・労働安全衛生法施行規則第44条) これに違反すると50万円以下の罰金に処せられます(労働安全衛生法第120条) 健康診断の結果は労働者に通知してください。常時使用する従業員の数が50人以上の事業所は定期健康診断の結果報告書を 労働基準監督署に提出します。 健康診断の結果に基づき健康診断個人診断票を作成しこれを5年間保存してください。(労働安全衛生法施行規則第51条) Q 産業医は必要?常時50人以上の従業員を使用する事業所で選任義務が生じます。14日以内に選任してください常時1000人以上または常時50人以上で労働安全衛生規則第13条第2項に規定する業務を行う事業場では専属(産業医と してはその事業所のみ)の者を選任しなければなりません。 常時使用する従業員が50人未満の場合では、従業員の健康管理として地域産業保健センター (津地区医師会津地域産業保健センター、桑名地域産業保健センター、春日井・小牧地域産業保健センター、岐阜地域産業保健センター)を活用しましょう。 Q 労働基準監督署はどんなところ?労働基準法・労働安全衛生法・最低賃金法・作業環境測定法等の労働関係法令に基づき、事業場の監督や労災保険の加入手続き・保険料納付・保険給付等を行っています。 労働基準監督官は事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行い、または作業環境測定を行い、検査に必要な限度において無償で製品、原材料若しくは器具を収去することができます。 (労働基準法第102条、安全衛生法第91条) さらに労働基準法、安全衛生法、じん肺法等の違反に対し司法警察官(警察とは別に独自で捜査、逮捕できる者)の職務を行います。労働基準法施行規則様式18号(炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する臨時措置法は除く) 労働者が監督署に申告したことを理由として、解雇その他不利益な取り扱いは禁止されています。 Q 労働組合と労働協約を結ぶ時は?労働協約は必ず「書面」にして組合と使用者双方が署名または記名押印します。(労働組合法第14条)有効期間は3年を上限とし、3年を超える期間を定めた場合は3年間の定めに短縮されます。 有効期間の定めをしないこともできます。この場合当事者の一方の署名または記名う印をした文書によって 90日前に予告をすることによって解約することができます。 しかし、一方的に解約を予告しその後交渉に応じない、としてしまうと、正当な理由なく団体交渉を拒否したもの(労働組合法第7条) とされ、不当労働行為を行ったと訴えられることがありますので注意してください。 Q労働協約と就業規則、労働契約の関係は?労働協約の労働条件その他の労働者の待遇に関する基準は労働契約による基準より優先されます(労働組合法第16条)また就業規則よりも優先されます(労働基準法第92条) 就業規則と労働契約の関係は労働者に有利な方が適用されます。(労働契約法第12条) Q 労働協約はだれの労働契約を規律するの?労働協約は原則、協約を締結した組合に加入している労働者に適用されます。ただし、1つの工場事業場において常時使用される同種の労働者の3/4以上の労働者が1つの労働協約の適用を受けることになった場合は他の労働者にもその労働協約が適用されるようになります。 また1つの地域において同種の労働者の大部分が1つの労働協約の適用を受けている場合、 事業主側と組合側の双方または一方の申し立てによって労働委員会が決議をすることで、厚生労働大臣または都道府県労働局長はその他の労働者にもその労働協約の適用を受ける決定をすることができます。 (労働組合法第17条・18条) |